第9回「計算機を用いた数学研究」GCOEセミナー (2012年1月20日〜21日)

第9回「計算機を用いた数学研究」GCOEセミナー 『保型形式と計算機』を下記の通り行います。

日 程: 1月20日(金)〜1月21日(土)
場 所: 京都大学理学部3号館 110講義室

ポスター(PDF)
プログラム(PDF)


1月20日(金) 「 計算機代数システム Magma への誘い / Dive into Magma 」
横山 俊一 (九州大学)

計算機代数システム Magma は, 豪シドニー大学のチームによって開発・頒布されている汎用ソフトウェアである. 開発が始められた90年代中盤から現在に至るまでに, 4,000を超える論文に引用されており, 信頼性も高く, 幅広い分野の数学研究に利用されている. 本講演は Magma に関する最近の進展状況, 及び保型形式論における利用例を報告すると共に, 初めて Magma を使用される方に向けての「講習会」を兼ねる. このため, 以下のように2部構成で行う.

サポートページ:
http://www2.math.kyushu-u.ac.jp/~s-yokoyama/KyotoMagma2012.html

14:00-15:30 Part I: Exploring mathematics with Magma: fast forward

まず前半で初心者向けの「講習会」を行う. 最初に Magma に関する基礎知識やソフトウェアに関する解説を行い, 続いて幾つか初等的な計算をお見せする. 具体的には次のような内容を取り扱う予定である.

1. 基礎的な指示語とルール, リファレンスブックの読み方
2. Boolean operations
3. 集合と作用素
4. Tuples
5. 写像の構成と取り扱い
6. 具体例(初等的代数学を例に)

16:00-17:30 Part II: Modular forms and related topics: a computational approach

後半は主に数論研究者向けに, 保型形式論における Magma の使用例を幾つか紹介する. 標準的な有理数体上の保型形式を主に取り扱う.加えて Hilbert 保型形式や Bianchi 保型形式の計算も紹介する.
最後にやや maniac だが重要と思われる話題を, 保型形式論に関連する内容から幾つか提供する.

7. 有理数体上の保型形式, ニューフォーム, 固有形式
8. 実二次体上の保型形式(Hilbert 保型形式)
9. 虚二次体上の保型形式(Bianchi 保型形式)
10. 複数のソフトウェアの重ね技
11. Magma の弱点, bug fix
12. その他

   
1月21日(土)  
10:00-11:00 Periods of quaternionic Shimura varieties
市野 篤史(京都大学)

Magmaには正定値四元数環上の保型形式が実装されている。ここでは、その応用例を紹介する。

11:15-12:15 高次Siegel保型形式の計算例
 池田 保(京都大学)

高次Siegel保型形式については、ある種のリフティングが存在することが知られている。ここでは、その計算機による実例について解説する。