多様な人材育成プログラムの一環として、GCOE集中講義「数学と自然科学・社会科学 III -- 金融機関におけるリスク管理の手法と実務」を開講します。
この集中講義は2つの講義により行われ、評価はその2つを合わせたもので行う。
もう一つの講義は追って掲示をする。
日 程 | 2011年11月21日(月)13:00〜14:30 2011年11月22日(火)13:00〜14:30 |
講義名 | 数学と自然科学・社会科学 III |
タイトル | 「金融機関におけるリスク管理の手法と実務」 |
講 師 | 原田 裕氏 (株式会社みずほコーポレート銀行 総合リスク管理部) |
場 所 | 京都大学理学部3号館108講義室 |
本講義では、金融機関におけるリスク管理を題材に、数学を専攻した人材が企業においてどのようにその能力を生かせるかということについて議論したいと考えている。特に定量的なリスク管理手法とその特徴について説明するが、金融工学の立ち入った話をするのではなく、実際にモデルのアウトプットを使う側に立って考えたことや感じたことなどをお話ししたい。
リスク管理と言えばとにかく損失を回避することだと思われるかも知れないが、ビジネスで収益を得るためにはリスクを取ることは必要不可欠である。問題はどのようなリスクをどれだけ取っているかであり、ビジネスが複雑化・グローバル化する中、リスクの全容を把握することは益々難しくなっている。
このような環境下では、現場と経営陣の情報格差を埋める役割が重要になるのであり、まさにここで数学の素養が生きてくるものと私は考えている。
講義は2つの部分で構成される。前半では、金融機関のリスク管理において広く利用されている、シナリオテスト(ストレステスト)やVaRといった手法の概要及びその意味する所を、独自の解釈も交えて解説する。後半では、サブプライム問題からリーマン・ショックに至る過程で見られたリスク管理上の問題を幾つかピックアップして議論したい。
使う数学そのものは高度なものは求められないため、理系学生が一般教養で身に付ける程度で十分かと思われる。金融ビジネスや企業経営管理に興味があれば尚良いであろう。