セミナー

発表言語 日本語
開催日 2012年07月04日 16時30分
終了日 2012年07月04日 17時30分
開催場所京都大学理学部3号館 (数学教室) 110講演室
セミナー名談話会
タイトル III 型作用のエルゴード理論と Baumslag-Solitar 群 (Ergodic theory for type III actions and Baumslag-Solitar groups) 
分野 幾何
講演者名木田 良才
講演者所属京大・理
概要(X, \mu) を Lebesgue 確率測度空間とする.X の可測な自己同型 T で非特異なもの,つまり,測度 0 の可測部分集合を保存するようなものを考える. T が \mu と同値などんな測度も保存しないとき,T は III 型であるという.そのような二つの自己同型 T,S が軌道同型であるとは,T,S が作用する測度空間の間の同型写像で T と S の軌道を保存するようなものが存在するときをいう.1960 年代に始まったとされるこの軌道同型の研究は,von Neumann 環の理論と関連し合いながら発展し,70 年代には III 型自己同型の軌道同型に関する完全不変量が得られた.この不変量は実数群による非特異作用の同型類で与えられ,III 型自己同型 T が X 上の確率測度 \mu をどれほど変化させているのかを反映しているものと見なせる.本講演ではまず,III 型自己同型の具体例をはじめ,III 型理論の基本となるこの不変量について述べたい.
 一方,最近では,離散群による保測作用を軌道同型の観点から調べる研究が盛んに行われている.0 でない整数 p,q に対し,表示 < a, t | ta^pt^{-1}=a^q > で定義される群を Baumslag-Solitar 群という.この群は組み合わせ群論において基本的な役割を果たしてきた群である.関係式に見られるように,a で生成される部分群上で捩れが起こり,このことがこの群を興味深くしている.この捩れは,III 型作用による測度の変化とどこか似たものを感じさせる.本講演の後半では,この直感を基にして得られた,Baumslag-Solitar 群による保測作用に関する結果を紹介する.
備考16:00-16:30 105談話室でtea

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リンクhttp://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/ja/seminar/danwakai.html