発表言語 |
日本語
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開催日 |
2011年05月10日 15時00分
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終了日 |
2011年05月10日 16時00分
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開催場所 | 京都大学数理解析研究所402号室 |
セミナー名 | 第40回 GCOE tea time |
タイトル |
代数多様体の安定性と“局所正値性”(Seshadri定数) |
分野 |
代数 幾何
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講演者名 | 尾高 悠志 |
講演者所属 | 京都大学大学院理学研究科 |
概要 | 代数多様体上の豊富(曲率が正たり得る)な1次元正則ベクトル束
(線束)の“局所的”正値性を測るSeshadri定数という正実数の不変量がある.歴史
的にはC.Seshadriによる線束の豊富性安定法(古典的)を名の由来とし,Demaillyに
よって20年ほど前に標準線束の“正値”性に関する藤田隆夫先生の予想の解決に動機
づけられて導入されたものである.Mirandaによる病的な例を一つの契機に当初の目
標は忘れ去られたが,むしろ思わぬ他の理論との関連が見つかってきている.
今回のTea timeでは偏極多様体(X,L)(つまりX:射影多様体,L:豊富な線束)がGIT安
定か不安定かという問題に,LのSeshadri定数が直接的に深く関わると示したい.多
様体のGIT安定性とは,標準的なKahler計量(Kahler-Einstein計量等)の存在と同値
と予想されつつ(特にDonaldson-Tian-Yau予想),代数幾何的なモジュライ構成にも関
わる問題でもある.
この不思議な関係はRossによる(“部分的な”K安定性である)slope安定性の研究に
端を発し,講演者がK安定の枠組みに拡張した.
ここ一年程に発展した/しつつある応用(Hwang-Kim-Lee-Park'10, Odaka-Sano'10, お
よび最近の講演者の岡田拓三氏・藤田健人氏との共同議論の成果)では特にFano多様
体においてTianによるalpha不変量,多様体の有理性問題に端を発する「双有理超剛
性」,森先生による端射線理論といった別起源の理論が,Seshadri定数を介して安定
性の判定問題に結び付いていく. |
備考 | 他分野の話を聞いたり、若手研究者と交流する良い機会ですので ぜひ参加してください。飲み物、おやつも用意する予定ですので、お気軽にお越しください。 |
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