概要 | Roynette-Vallois-Yor(2006)は,Wiener測度に重みを掛けて正規化した測度の長時間極限を考察し,これらの問題を(Brownian)
penalisation problemsと呼んだ.ここではこれを日本語で(ブラウン)処罰問題と呼ぶことにする.
本講演では先ずRoynette-Vallois-Yorのブラウン処罰問題を概観する.特に,重み過程が最大値過程の関数,原点局所時間の関数及びカッツ消滅型汎関数の場合を振り返り,これらの問題がNajnudel-Roynette-Yor(2009)によって導入されたシグマ有限測度によって統一的に論じられることを見る.続いて,安定レヴィ過程への一般化について述べる(矢野孝次氏,Marc
Yor氏との共同研究を含む).安定レヴィ過程においては,局所時間及びカッツ消滅型処罰問題と最大値処罰問題との間に,ブラウン運動の場合には見えなかった本質的な違いが現れる.このことが伊藤の周遊理論や調和変換によって説明されることを紹介したい.
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