概要 | 種数2の曲線 C から標準的に作られるヤコビアンクンマー曲面という K3曲面 X を考えます。ヤコビアンの二等分点のある種の 6 点部分集合を Weber hexadと言い、これを決める毎に X 上にHutchinson-Weber 対合という自己同型が定義できます。 このHW対合は X が一般の場合には固定点を持たずエンリケス曲面を定めますが、エンリケス曲面のモジュライの境界にあたる部分では退化を起こします。 この講演では、HW対合の構成から始め、その退化として自然に Comessatti曲面、即ち (1+\sqrt{5})/2 なる自己同型を持つアーベル曲面が現れることを説明します。退化の起こる条件を X のいろいろなモデルの上で書き下してやることで、自然に古典的なHumbertの定理が一般化されます。 余裕があれば、Weber hexadの同値類の構成が6次対称群の外部自己同型の構成に対応していることを紹介し、その複雑さがHW対合やHumbertの定理の条件の微妙さに対応していることも説明したいと思います。 |