セミナー

発表言語 日本語
開催日 2010年06月08日 15時00分
終了日 2010年06月08日 16時00分
開催場所京都大学数理解析研究所402号室
セミナー名第25回 GCOE tea time
タイトル 曲面結び目と曲面ブレイド、特に自明なトーラスの被覆の形をした曲面結び目について 
分野 幾何
講演者名中村 伊南沙
講演者所属数理解析研究所
概要古典的に広く研究対象とされてきた3次元空間内の1次元の結び目やブレイドの拡張された概念として、
4次元空間内の曲面結び目や曲面ブレイドが定義される。曲面結び目(surface link, surface knot)と
は、4次元空間の中への閉曲面の埋め込みのことである。任意の向きづけられた曲面結び目は、ある曲
面ブレイド(surface braid)の閉包の形で、すなわち自明な球面S^2上の分岐被覆の形で表すことができ
ることが知られている。これは1次元のAlexanderの定理の2次元版である。
 そこで、曲面結び目の新たな構成法として、自明な球面を自明なトーラスにするという方法が考えられ
る。すなわち、自明なトーラスの分岐被覆の形をしている曲面結び目というものを考えることができる。
このような曲面結び目をトーラス被覆結び目 (torus-covering link)と呼ぶことにする。
曲面結び目がある曲面ブレイドの閉包の形をしているとき、それのI×S^2への射影による像の特異点集合
を考えると、特異点集合のS^2への射影はS^2上のグラフになっている。
このグラフにある種のデータを付け加えたものをS2上のチャート(chart)という。
逆に、S^2上のチャートが与えられたとき、それから元の曲面結び目を再構成することができる。
定義より、トーラス被覆結び目はトーラス上のチャートで表すことができる。
この講演ではまず曲面結び目、曲面ブレイド、及びチャートの定義を述べ、
チャートと曲面ブレイドがどのように対応しているかを説明する。
時間があれば講演者が研究対象としているトーラス被覆結び目について述べ、いくつか例を挙げる。

キーワード:曲面結び目、曲面ブレイド
備考他分野の話を聞いたり、若手研究者と交流する良い機会ですので ぜひ参加してください。飲み物、おやつも用意する予定ですので、お気軽にお越しください。