概要 | 次数2のジーゲル保型形式に付随するスピノルL函数の、函数等式の中心における
特殊値について、Boechererはそれがベッセル周期とよばれる保型形式の周期の
絶対値の2乗と関係することを予想した。これは、楕円保型形式の場合に多くの
重要な結果をもたらしたWaldspurgerの定理の、次数2のジーゲル保型形式の場
合への自然な一般化であると考えることができる。Shalikaとの共同研究によって、
Boechererの予想にアプローチする二つの相対跡公式を提唱し、それらの基本補題を
証明した。最近、Martinとの共同研究によって、これらとは異なる新しい相対跡公式
を考察し、基本補題を証明した。談話会においては、この新しい跡公式を紹介すると
ともに、以前の二つとの相違点等について話したい。 |