概要 | ヒトや動物は、複雑な筋骨格系を協調的に動かし、多様な環境のもとで適応的な歩行運動を実現している。歩行運動は、脳神経系と身体筋骨格系、そして環境との力学的相互作用を通して形成される非常に秩序だった全身リズム運動であり、従来より、運動神経生理学やバイオメカニクスなど多くの分野で研究が行われている。工学的には、生物学・生理学的な知見を基に神経筋骨格系のシステムモデルを構築し、動力学シミュレーションを通して歩行運動を再現することで、歩行運動の生成メカニズム・神経制御系の役割を明らかにする研究や、歩行運動を説明する本質的な要素を抽出したシンプルモデルに基づく数理解析から、その力学構造を明確にする研究などが行われている。本講演では、特にヒトの2足歩行を中心に、多足歩行、4足歩行など生体の歩行運動に関してこれまで行った研究に関して紹介する。 |