概要 | ランダムな複素力学系においては、カオス的部分が一切なくなってしまうことが多いことを示す。この「カオスの消滅」はたとえて言うと様々な写像が互いに互いの欠点(?)を補うことによって協調しあうような効果により生まれる現象である。カオスがなくなったからといって面白くないのではなく、極限状態の考察において、悪魔の階段の複素平面上版などの、複素平面上の特異関数とでも呼ぶべき新しい興味深い対象が出現することを述べる。
上記のことがらはいずれも通常の複素力学系では現れない現象・対象である。これらのこととそのメカニズムを、ランダムな複素力学系と正則写像半群の力学系の両者を交錯させた基礎理論を新しく展開することによって、組織的に追究する。 |