概要 | 3次元多様体を円周上の境界つき曲面バンドルとソリッドトーラスとの和の形
で分解することをオープンブック分解と呼ぶ。
閉3次元接触多様体全体と3次元多様体のオープンブック分解の安定同値類が
一対一に対応することが知られ(Giroux correspondence)、
オープンブック分解はHeegaard Floer homologyを用いた接触構造の不変量の
構成に用いられるなど、接触幾何の研究において中心的な役割を果たしている。
本講演では川室圭子氏(Univ. Iowa)との共同研究による、オープンブック分解
を位相幾何的な視点で研究するopen book foliationのアイディアと手法につい
て説明をする。
これは、Birman-Menascoによる3次元球面内の閉組みひもを調べる際に用いられ
たbraid foliationの理論の一般化であり、3次元(接触)多様体の中の曲面を
調べる際に有用である。
Open book foliation の手法を用いることで、3次元接触幾何でのいくつかの
基本的な定理のより初等的あるいはより構成的な証明ができること、また、
オープンブック分解を通じて写像類群の理論と3次元接触幾何の理論との
あいだにさまざまな関連があることを説明したい。 |