概要 | ハミルトン系の周期解の研究は、シンプレクティック幾何における基本的
な問題のひとつである。今回の講演では、特に、時間変化しないハミルトン系
(自励ハミルトン系)が非自明な(定数解でない)周期解を持つか、という問題
を考えたい。この問題は、Hofer-Zehnder等によるシンプレクティック容量の研
究とも関係が深い。
閉シンプレクティック多様体に対しては、グロモフ・ウィッテン不変量の非消滅
から、その上で定義されたハミルトン系の周期解の存在を導く議論が知られてい
る(Hofer-Viterbo, Liu-Tian, G.Lu)。(一定の良い条件を満たす)開多様体
に対して同様の話を作ろうとすると、シンプレクティック・ホモロジーという
ある種のフレアホモロジーが現れ、この方向ではViterbo等により重要な結果が
得られている。
以上について概観したあとで、シンプレクティック・ホモロジー上の積構造を
用いることで得られた、講演者の結果について説明したい。
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